第128回:どうされましたか D |
秋山峰男 医師 |
組合員さんから次のような質問がよせられました。今回は、水島歯科診療所の秋山峰男歯科医師に答えてもらいました。 〈質 問〉「最近、新聞やテレビでインプラント治療のトラブルの話をよく聞きます。私も昨年、インプラントの治療をしたのですが、少し心配しています。倉敷医療生協の歯科は大丈夫なのでしょうか?教えてください」 〈回 答〉社会問題化している近年、歯科治療で『インプラント』という言葉が一般に通用する時代になりました。しかし、一方では、治療のトラブルが増加し、社会問題化しています。国民生活センターの資料では、腫れや痛みが残るなどのトラブルが2006年以降、約5年間で343件の相談が寄せられています。被害者は50、60代が6割。男女別では女性が約8割を占めています。 恐ろしい先入観マスコミでの報道はごく一部の経験の浅い歯科医が行った、医療ミスを大々的に取り上げ、本来9割以上成功率の治療に対して、恐ろしいという先入観を持たせてしまっています。 魔法の人工歯牙ベテランになるほど治療の奥深さとともに、決して気軽に手がけられるものではなく、一筋縄では取り組めないことを痛感しています。このような社会問題化の背景には一部でメーカーの商業化された「医業」として浸透し、あたかも「魔法の人工歯牙」とか、経験がない者でも簡単にできるとして誤って認識されている事実があります。 納得いくまで話す倉敷医療生協歯科では20数年来、インプラントに関わる得られた技術を蓄積、継承しそれを患者さんに返していくことで信頼を得、年間700本以上の患者要求を得るまでになりました。その中で何よりも大切にすることは、審査、診断を提示した後、患者さんと共に納得するまで話し合います。 治療は一刻を争うものではなく、時間の余裕があります。利点、欠点を含め十分に説明を受けた上で考え、患者さんの意思で決めていけば良いと思います。それでも心配な時はセカンドオピニオン(主治医以外の第三者の専門家に相談すること)を受けてください。どんな高級車も車検も受けず手入れをしないと汚れ、壊れ、走らなくなる。自分の歯を失った原因をともに考え、インプラントが入った後も生涯にわたるメンテナンスができる信頼関係を築けてこそ、治療が成功できたと言えるのではないでしょうか。 |